九州大学大学院薬学研究院
環境調和創薬化学分野

【論文】嵩高いα−アミノ酸類の触媒的ワンポット合成法を開発(Org. Lett. 2022)

2022年10月24日

 
 
One-Pot Catalytic Synthesis of α-Tetrasubstituted Amino Acid Derivatives via In Situ Generation of N-Unsubstituted Ketimines
Yuta Kondo, Yoshinobu Hirazawa, Tetsuya Kadota, Koki Yamada, Kazuhiro Morisaki, Hiroyuki Morimoto, Takashi Ohshima
Org. Lett. 2022, 24, 6594–6598. DOI: 10.1021/acs.orglett.2c02587


 イミンチームの新作で、触媒的イミン合成の第3弾。1報目2報目をさらに発展させ、種々のアミノ酸類のワンポット合成まで展開できました。筆頭著者の近藤は8報目(筆頭4報目、総説含む)、共著の山田くん(M1)は初の論文です。
 今回も先生方と共著者からコメントをいただきましたので掲載します。

・大嶋先生
 これからは無保護ケチミンだ!と言って立ち上げた本プロジェクトも、初期の基礎反応の開発の段階から、合成プロセス全体の環境調和性・実用性をアピールできるもに仕上がってきました。今回、不安定で単離困難な無保護ケチミンも、ワンポット反応化することで、中間体として利用することができるようになりました。本法は共生成物として(TMS)2Oを生成しますが、続く反応に負の影響を与えることが多いH2Oを共生成物とする方法(そもそも合成できる無保護ケチミンが限定されますが)よりも、より反応性の高いワンポット合成プロセスを構築でき、既存のどの反応系よりも使い勝手の良いものに仕上がったと自負しています。共著者のがんばりに心より感謝!

・森本先生
 我々が以前に報告した無保護ケチミンの触媒的合成法を活用して、α位に四置換炭素を有するα-アミノ酸誘導体をカルボニル化合物からワンポットで合成できるようになりました。本手法は、不安定な無保護ケチミンの単離を回避できるため、これまで適用が困難であったアルキル基で置換されたカルボニル化合物を含め、幅広い基質に利用できるのが特徴です。本研究により、既存の手法では効率的な合成が困難であった、立体的に混み合ったα-アミノ酸誘導体に関する研究の進展が期待されます。

・近藤
 イミン合成のワンポット論文、ようやく論文化できました。共著者の森崎さん(現 北大院薬 助教)は私が研究室に配属された時に直接ご指導いただいた先輩で、触媒的イミン合成のテーマを立ち上げてくださった大先輩です。第2著者以降の平澤くん、門田くん、山田くんは、私のチームに入って一緒に研究を頑張ってくれた歴代の後輩たちです。これまでお世話になった先輩、後輩たち全員と共著で論文化できたことで、まさに私の研究室生活の集大成のような論文となりました。論文化まですごくすごく時間がかかってしまいましたが、最後までご指導いただいた先生方に感謝いたします。あと2報で10報目!なんとか達成できるように残りの期間で頑張ります。

・山田くん
 微力ながら本研究に関わることができたことを嬉しく思っています。実験操作だけでなく研究の全体像についても丁寧に教えてくださった先輩方に感謝申し上げます。ありがとうございました。


※薬学部のホームページで研究が紹介されました(九州大学薬学部